子どもの顎が小さいと歯並びが悪くなる?
皆さん、こんにちは。江南市布袋のつかもと歯科です。お子さんの歯が生えてきたときに「なんだか歯が重なっている」「すき間がない」といった不安を感じたことはありませんか?実は、子どもの歯並びの乱れには、顎の大きさが深く関係しています。とくに、顎が小さいお子さんは永久歯が並びきらず、将来的に矯正治療が必要になる可能性もあるため注意が必要です。今回は、「顎が小さい」とはどういう状態なのか、また歯並びへの影響について詳しく解説します。
子どもの顎が小さいとは?
子どもの顎が小さいとは、永久歯が生えるために必要なスペースが顎の骨に十分に確保されていない状態を指します。正常な顎の発育が妨げられると、歯が生えるスペースが不足し、歯並びがガタガタになったり、噛み合わせがずれたりする原因になります。
注意すべき症状
・乳歯がきれいに並んでいてもすき間がない
・永久歯が斜めに生えてきている
・前歯が重なって生えてきている
・奥歯の位置が左右でずれている
これらの症状がある場合、顎の成長不足や発育バランスの乱れが疑われます。
原因として考えられるもの
◎遺伝的な要因
両親のどちらか、あるいは両方が顎の骨が小さい場合、お子さんも同様の骨格を受け継ぐことがあります。
◎栄養や咀嚼の不足
近年、柔らかい食事が増えてきたことにより、しっかり噛む機会が減少し、顎の筋肉や骨の発達が遅れる傾向があります。
◎指しゃぶりや舌癖などの口腔習癖
指しゃぶりが長期間続くと、上顎が狭くなったり、前歯が出たりする原因になります。また、舌を前に出す癖(舌突出癖)も顎の成長に影響します。
◎口呼吸の習慣
口をポカンと開けている状態が多いと、舌が本来の位置である上顎に触れず、顎の発育が促されにくくなります。
このように、子どもの顎の発育には生活習慣や環境も大きく関係しており、日頃の過ごし方や癖が顎の大きさに影響を与えることがあるのです。
子どもの顎が小さいことで歯並びが悪くなるケース
顎が小さいと、永久歯が生えるスペースが足りなくなり、結果として歯並びが乱れてしまうことがあります。これは叢生(そうせい)と呼ばれ、いわゆる「ガタガタの歯並び」です。永久歯は乳歯よりもサイズが大きいため、顎が狭いままだと並びきれず、斜めや前後にずれて生えてきてしまいます。
その他の歯列不正
◎八重歯(犬歯の位置異常)
本来なら上下の前歯の隣に並ぶはずの犬歯が、スペース不足により外側に飛び出す形で生えてくることがあります。
◎交叉咬合(こうさこうごう)
上の歯よりも下の歯が外側に出てしまう、いわゆる“すれ違い咬合”です。顎の横幅が十分でないことが影響している場合があります。
◎開咬(かいこう)
奥歯は噛んでいるのに、前歯が開いてしまい上下の前歯が噛み合わない状態。舌癖や口呼吸などがある場合、併発しやすい咬合異常です。
顎の発育を促すことで悪い歯並びを改善できる?
小児期は成長途中にあるため、早期に適切なアプローチを行えば、顎の発育を促し、自然な歯列を目指すことも可能です。例えば、マウスピース型の矯正装置や床矯正(しょうきょうせい)と呼ばれる可撤式の装置を用いて、顎の成長を助けながら歯が正しい位置に並ぶよう導く治療があります。
また、口腔筋機能療法(MFT)を併用することで、舌や口の周りの筋肉のバランスを整え、正常な顎の発達を促進することも可能です。こうした早期治療は将来的な本格的矯正の回避や、抜歯の必要性を減らすことにもつながります。お子さんの歯並びに少しでも違和感を覚えた場合は、お早めにご相談いただくことをおすすめします。
まとめ
子どもの顎が小さいことは、将来的な歯並びの乱れにつながる可能性があります。乳歯の時点で隙間がない、永久歯が斜めに生えてきたといった兆候が見られた場合には、顎の成長不足を疑う必要があります。遺伝だけでなく、生活習慣や口腔癖も大きな要因になるため、日常の観察がとても大切です。成長期の今だからこそできる予防や治療がありますので、気になる点があればお気軽につかもと歯科までご相談ください。未来の歯並びのために、今できることを一緒に考えていきましょう。